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INTERVIEW

A-1 Pictures Inc.

2024.03.04

【新卒採用2025】若手スタッフ座談会Vol.2<クリエイティブ編>前編

A-1 Picturesで働く若手スタッフの座談会、第2弾はクリエイティブ部門編をお届け!

アニメ業界を目指す学生の方や、スタジオの仕事に興味のあるファンの皆さんの参考となれば幸いです。

 

<座談会出席者>

・前田 芽美(作画/2022年入社・2年目)

・山澤 美紗紀(仕上げ/2019年入社・6年目)

・古川 璃々花(CG/2023年入社・1年目)

・加賀美 帆(撮影/2023年入社・1年目)

 

 

―――まずは自己紹介からお願いします。

 

加賀美:撮影部の加賀美帆です。去年入社したので1年目です。

 

古川:古川璃々花です。CG部に所属しています。2023年入社の1年目です。

 

山澤:仕上げ部の山澤です。2019年入社なので、年度変わって6年目になります。

 

前田:作画部の前田です。入社して2年目になります。よろしくお願いします。

 

―――最初に、皆さんのお仕事内容について、簡単に教えてください。では工程順に、作画からお願いします。

 

前田:私の場合は、1年目は「動画」を担当して、2年目からは「原画」の作業が中心になりました。原画の担当としては、最初は2原の作業からで、2ヶ月くらい経ってから1原の作業を始めた感じです。

 

加賀美:1原、2原ってなんですか?

 

前田:1原(=第1原画)は「レイアウト」のことで、構図をとったり動きをつけたりが主で、そのレイアウトに作画監督などの修正指示が入ったものを、きれいにまとめて清書する作業が2原(=第2原画)になっています。

 

加賀美:なるほど。で、動画が中割りを描いていく…感じ、ですよね?

 

前田:そうです。原画をもとに動画を描いていきます。今は原画も動画もほぼデジタルでの作業になっているので、Clip Studioというソフトを使って、ペンタブレットで作画の作業をしています。

 

―――「仕上げ」はどういう仕事ですか?

 

山澤:Clip Studioで作業した動画のデータをいただいて、線の補正とペイント(=彩色)の作業をしていく感じです。以前は紙の動画素材をスキャナでスキャンして、データを二値化して、という作業もありましたが、デジタル化が進んだので省略されました。その仕上げのセクションの中でも、自分が今メインで担当しているのは、「色指定検査」という役職です。

 

―――作画の仕事が動画から原画に変わるように、仕上げから色指定検査にステップアップするのでしょうか?

 

山澤:仕上げの次は、「色指定」という、ひと話数の色の責任者になります。1カットずつ、どのカラーモデル(=塗分けの設計図)に合わせてペイント作業すればいいかを指示する仕事です。色指定検査というのは、それぞれの仕上げさんが塗り上げてくれたペイントデータに塗り間違いがないかとか、撮影さんに渡す時に素材が足りないとかスライド指示がないといった素材不備がないかをチェックするのが仕事です。本当は前の工程で発見できればよいんですが、忙しいとそうもいかずこちらで原画のデータまで遡って確認したり…。

 

加賀美:そうだったんですね!うわぁ、感謝しないと。

 

―――「CG」はどんなお仕事ですか?

 

古川:私はいま主に、「3Dレイアウト」の仕事をしてます。メインのツールは3ds Maxというソフトを使ってるんですが、作業の工程によっては他のツールも使います。

 

―――3Dレイアウトというのはどういうものですか?

 

古川:絵コンテを元に、主に室内や車内といった、パースが取りづらいカットのレイアウトを作成して、作画さんに参考用の素材としてお渡しするんです。そこに、社内や協力会社のモデラ―さんが作ってくださった3Dモデルを配置したりもします。最初にCGでレイアウトを作成することを「CG先行」と言うんですが、逆に、「作画先行」の場合は、作画さんから来たレイアウト素材を元に、車のモデルなどを配置する、ということもありますね。

 

山澤:色指定の作業でも、CGのデータが配置されてるデータをもらったりするので、あ、このカットはCGでアタリをとってたんだな、と分かります。

 

前田:私がいま担当している作品に、非常階段のシーンがよく出てくるんですが、階段の柵の隙間からの光の加減に監督がすごくこだわってらっしゃるんです。でも階段のライティングが全然分からなくて。それが、CGレイアウトをもらって、光がこう入るんだ、とか、キャラクターの影がどこまで届くんだ、とすごく良く分かったので助かりました。

 

加賀美:そうか、パース以外の部分でもCGは「本物」に近いですもんね。

 

前田:頭の中では想像しづらいので、そういう時は背景さんもすごい助かってると思います。「原図」として同じものをお渡しするので。

 

加賀美:じゃぁ、絵コンテが出来上がったらまずCGさんがレイアウトを…。

 

古川:はい、一番最初の工程に、恐らくなります。

 

加賀美:え~、すごい!

 

―――では「撮影」について教えてください。

 

加賀美:今まで皆さんが話してくださった各セクションから素材が集まるので、作画さんの素材と美術さんの背景素材、あとCGがあったらCGの素材をAfterEffectsで合成して、一つの映像にする仕事をしています。例えばカメラワークとか、ちょっとキャラ動かしてくださいとか、背景をこのぐらいぼかして下さい、といった、撮影で施す処理の指示が「タイムシート」という紙に記載されているので、それに従って作業します。あとは、ちょっと透かしたり光らせたり、魔法のエフェクトなどを追加したり、テクスチャーを貼ったり、という処理も全て撮影で入れています。

 

 

―――皆さんがアニメ業界を志望したきっかけや経緯を教えてください。

 

前田:「アニメ業界の人」と言えば一番最初にアニメーターが来る気がするので、逆に皆さんのきっかけが気になるんですけど、私の場合はすごく単純です。アニメを見るのが好きで、最初は「好き」で終わっていたんですが、今敏監督のドキュメンタリーなどを見て「作る」側っていうのを意識し始めました。こんな格好いい仕事ができるなんてすごいな、と思ったんです。それで、元々絵を描くのが好きだったのもあって、アニメーターを目指しました。

 

加賀美:アニメーターさんって専門学校とか大学からの場合が多いですよね。進学の前からもう決めてたんですか?

 

前田:高校の進路選択の時に、何か「やりたいこと」をやりたいなと思って。それで画塾に通ったり、大学に行ったりして絵の勉強をしました。むしろ、絵のことしか勉強していなかったので、アニメにこんなにいろんな人が携わってると知ってびっくりしました(笑)。

 

加賀美:業界に入ってから、「すごい!」って?

 

前田:そうですね(笑)。

 

山澤:私はもともと父の影響で、色に関する仕事したいなと漠然と高校生くらいに考えていました。ただ、私もアニメと言ったらアニメーター、という感じで、分業制だとは知らなかったんです。ある専門学校の説明会に行ったら、色を塗る人、撮影してる人、背景を描く人…と分かれていて。そこで初めて仕上げの仕事を知って、「私、ここしかないな」と思って、仕上げを目指して専門学校に入りました。

 

古川:私は学校でCGを習って、漠然とCGに関わる仕事ができればいいなとは思っていました。そうしたら2つ上の先輩が、CGアニメーターとして就職されたのを知って、そういう道もあるのかと意識し始めたんです。もともとアニメが好きで、アニメ業界に興味はあったのですが、絵を描くことがあまり得意ではなかったんです。絵の勉強をしていた時期があったのですが、途中で自信を無くしてしまったこともありアニメ業界は無理かな…と。そう思っていた矢先で、やっぱり好きなことを仕事にしたい、と思って一回挑戦してみることにしました。ただ、学校はどちらかというとデザインの専門学校で、CGの授業は半年だけ週に一回2週間…ぐらいでした。

 

山澤:じゃぁ、ほぼ独学みたいな感じ?

 

古川:そうですね。ほぼ独学で、授業がない間はCG教わってた先生に聞いたり外部のオンラインスクールに通ったりしていました。

 

山澤:えぇ~、すごい!

 

加賀美:私は、就職を考えるとなった時に、「好きなこと」「自分ができること」、あと「長く続けられそうなこと」っていう3つの項目で考えて、それが当てはまるところで就活しようと思いました。で、好きなことは洋服とか旅行とかスポーツ全般とかたくさんあるんですけど、アニメに限らず実写でも映画とか映像を見るのが好きで。大学ではアニメーション専攻に通っていたので、一応ひと通りのことはできるなと思いました。あとは長く続けられそうな、苦じゃないことって何かなと考えたら、映像に関する演出の技法やレンズとかの参考書を読んでる時は楽しかったなと。それで、アニメ業界の中でも、描くとかよりもっと「映像」寄りの、最後の部分に携われる仕事がいいなと考えて、アニメの撮影に絞りました。

 

山澤:すごい自己分析…。

 

加賀美:絶対就職するって決めてたんで!(笑) それに、会社が合わないのはしょうがないですけど、やってる仕事自体が「これじゃなかったかも」って就職してから思いたくなかったんです。

 

後編へ続く→