INTERVIEW
【新卒採用2025】部署新設!美術部スタッフ対談
A-1 Picturesスタッフトーク、今回は新設セクション「美術」編をお届けします。仕事内容のほか、新たに部署として立ち上げた狙いなど、アニメ業界を目指す学生の方や、スタジオの仕事に興味のあるファンの皆さんの参考となれば幸いです。
<対談メンバー>
美術・平義樹弥(制作サポート室美術部)
制作・杉本俊輔(制作サポート室 美術担当)
―――まずは簡単に自己紹介からお願いします。
平義:A-1 Pictures制作サポート室美術部所属の平義と申します。今は、「美術設定」をメインに、「背景」と、あとは「イメージボード」もやらせていただいてます。
杉本:A-1 Pictures制作サポート室、杉本俊輔です。僕は営業担当というか、美術プロデューサーみたいな感じです。
―――美術設定や背景などについて、もう少し詳しく説明していただけますか?
平義:アニメに出てくる風景や建物のデザインを決める、線画で描く資料が美術設定です。スタッフ全員が作品の雰囲気を共有するために描かれるのがイメージボード、そして実際にアニメの映像でキャラクターの後ろに映っているのが背景、背景美術です。
杉本:脚本が出来上がったところで美術設定やイメージボードが発注されて、それが美術設定さんの仕事になります。その後、美術設定やボードを踏まえて描かれた絵コンテを元にアニメーターさんが作画する際、キャラクターとは別に「原図」という、構図を決めた背景の発注書のようなものも描かれるんです。美術さんはその原図を元に背景を描きます。並行して、背景の色の方向性を決める作業もありますね。例えば夕暮れのシーンなら、この作品の夕暮れはもうちょっと赤を強くとか、もうちょっと暗くとか。それも美術さんの仕事の一つですね。
―――平義さんはそもそも、なぜアニメの美術の仕事をしようと思ったのですか?
平義:元々は、絵を描く仕事がしたいっていう以外、将来のことはあんまり考えてないなかったんです。一番最初は、キャラクターが描きたかったんですよ。でも専門学生の時に、どうやらキャラを描くセンスがない…となりまして(笑)。それで背景を描いてみたらそちらの方が、ということで背景を描き始めました。背景の仕事といったらやっぱりアニメかな、とアニメの世界に入りました。
―――今は美術の仕事についてどう感じていますか?
平義:美術設定は作品の世界観を作る仕事なので、ものすっごく楽しいです。限度はありますけど自分の置きたいものを置いたり、描きたいものを描いたりもできますし。昔キャラが描きたいと言っていた頃の気持ちよりも、今は背景の方が楽しいですね。
―――美術の仕事のために、学生時代に努力したことはなにかありますか?
平義:主にはパースの勉強です。パースさえとれればもう、アニメに必要な物の形は描けるので。あとは、学校に現役のプロとして仕事をしてる先生がいたので、その先生に「こういうのどうですか?」と聞きに行って、自分の腕を磨くってことはやっていました。
――日々の仕事で、一番やりがいとか喜びを感じるのはどういう時ですか?
平義:ある作品でご一緒した監督と、打ち合わせ後にちょっとお話ししていたら、ぜひまた一緒に何か作品やりたいですと仰っていただけて。そういうのがやりがいですね。あとは、自分の仕事がちゃんと映像化されてテレビに映って、クレジットに名前も載って、っていうところでやりがいをすごく感じます。
―――平義さんはもともとは他の美術会社にお勤めだったんですよね?
杉本:はい。ただ彼とは、以前からずっと一緒に仕事はしていまして。
平義:そうですね。
杉本:「かぐや様は告らせたい」の美術設定を担当してくれていたんですけど、その後とある機会に彼が会社を辞めていたことを知って。ちょうど社内で美術部を新たに立ち上げようという機運が高まっていたタイミングで、彼の仕事ぶりも人となりも分かっていたので当社に誘ったんです。
―――A-1 Picturesに入社してみての印象はどうですか? また、どういうところが強みだと思いますか?
平義:過去の職場と比べると何十倍も楽しいですね。一番のアピールポイントだと自分が思うのは、風通しがすごくいいことです。言いたいことが言えて、こういうことをやってみたいと言ったら意外と通ったり。ダメな時もちゃんと、こういう理由で無理だから、と言ってもらえる。それも含めてすごく楽しいです。
杉本:美術を目指す方って普通は美術会社さんを受けに行くと思うんです。この美術監督さんが好きだとか、この作品をやっていたから、と。そういう積み重ねが、新設したばかりのA-1 Pictures美術部にはまだありませんが、当社の強みはやっぱり、セクションが全部揃った総合的な制作会社だという点です。アニメーションってこんなにたくさんのセクションがあって作っているんだな、というのを直接見られることにはとても意味があると思っています。
―――今年新設の部署とのことですが、いままで社内に美術部はなかったんですか?
杉本:実は一時期はあったんですが、その成り立ちの経緯からCloverWorksとの分社の際に一緒に分かれてしまったんです。なので、A-1 Pictures阿佐ヶ谷スタジオとしては初めてということになりますね。アニメ制作のうえで美術もすごく重要なセクションなので、ぜひ社内に美術部をとはずっと考えていました。実際、他社さんに美術の営業をかけるとかなり需要があって。結構大きな作品の仕事もいただけたりしています。
―――A-1 Pictures制作ではない作品の仕事も、美術部では引き受けているんですか?
杉本:はい。もちろん、まずは当社の作品の質を高めることが最優先ですし、そのために立ち上げたのがこの美術部です。ただ、美術部の成長に繋がったりモチベーションを上げられたりするような仕事は、他社さんの作品でも機会があれば積極的に引き受けたいと考えています。
平義:一般的な美術会社だと、その会社がとった作品の仕事以外は基本的にできないんです。でもA-1 Picturesに来てから、他社のやりたい作品や有名な作品に関われる機会が増えました。
―――美術の仕事をするにあたって、一番大事なことって何だと思いますか?
平義:人間よりも、周りのものを注視するように、ということだと思いますね。特に人工物は比率だとか高さが決まっているので、例えばキャラクターが載った時に天井の高さはこのぐらいの見え方だよね、というのは、美術設定だろうと背景だろうと描く時に意識しないといけないですから。普段からこの現実世界をできるだけ見るようにする。また現実世界じゃなくても、中世だったり近未来だったり、アニメには作品も描くものもいっぱいあるので、いろんなものに触れることも大切です。
杉本:そういえば彼がある作品の美術を修正している時に、絵を見て「この窓サッシは絶対こういう規格じゃない」と言い始めたことがあって。そういう知識を持って描けるのは、やはり普段から注意して細かいところをちゃんと見ているのがプラスに働いているからなんだなと思いますね。
平義:毎回規格を調べて「何センチ×何センチだから…」じゃなく、「これはもうこのサイズ感でこういう作りだからこういう描き方で」と分かっていれば、描く手の速さも変わってくるんですよね。
―――A-1 Pictures美術部、今後の方針について教えてください。
杉本:ただ設定や、背景を描くだけの部署ではなく、ある種のブランドになれるようにと考えています。制作から、こういう作業なら誰々に、と名前が挙がるようなスタッフを育てたいですね。やっぱりクリエイターですから。また、美術って一言で言っても色んな方向性があるので、それぞれが進みたい方向へ舵を切れるような環境を作っていきたいと考えています。例えば、最近では美術設定と背景は分業することが多いんですが、本人がどちらもやりたいと望むならぜひチャレンジしてもらいたいですし。部署としては、5年後ぐらいにはテレビシリーズか劇場作品を1本担当できるような規模にしたいなというのが僕の目標です。
―――どんな人にA-1 Pictures美術部を目指して欲しいですか? また業界をめざす人へのアドバイスをお願いします。
杉本:楽しく仕事をする、…っていうのは難しい言葉ですけど、いかに大変な時でも笑って「みんなで頑張ろう!」って言える、そういう人に来ていただきたいですね。同じ現場にいても、こんなのやってらんねえよって言う人より、楽しく笑いながらやれる人です。やっぱりエンタメ業界ですから。とはいえ、別にそんなに構えなくていいと思います。
平義:業界に入って、会社でお給料をもらいながらやるとなったらもうプロじゃないですか。美術監督の方が見られる程度には直してくれると分かっていても、自分が描いたものがテレビに映るとなると、本当に出来るのかなって思うこともありました。不安は多いと思いますが、まぁ成長するので(笑)、気軽に挑戦したらいいと思います。特にこの会社は。
杉本:とにかく、一緒に成長しながら一緒に面白いアニメを作っていける人を募集しております。こんな風に生意気でもいいし。
平義:オレ、生意気ですか!?(笑)
―――ありがとうございました。