INTERVIEW
プロデューサー 藤田 祥雄
アニメーション業界とA-1 Picturesに入ったキッカケはなんですか?
漫画や音楽、映画など好きなものが多く、学校を出てバンド活動をしていた時期に知り合いがアニメを見ていて、「あ、コレなら自分のやりたいことが全部できるのかな」と思い、この業界を目指しました。
業界には、まず海外動仕を担当する会社に入社し、その会社の方がA-1 Picturesの方と引き合わせてくださり今に至ります。ラッキーでした。
作品作りの際に、心掛けていることはありますか?
まず、その作品が表現しようとしていることや伝えたいこと、要求しているものを理解すること。それから自分たちがやりたいことや表現したいことを確認する、そして視聴者が求めるものや見たいもの、作品を通して伝えたいことを考える。このプロセスに明確な順序はないのですが、これらをきちんとすり合わせて形にすることを心がけています。自分のやりたいことだけやっていてはその作品の本質、大事な部分を損なう恐れがありますし、作品が求めているものだけを形にしても、所謂やりがいみたいなものは薄れてしまいます。また、視聴者に媚びるだけのものを作っても同じです。このバランスをきちんととることが大事かなと考えています。
細かい所ですが、作品を見ている最中に分かりやすく制作者の顔が見える、想像できるような作品作りはできる限りしないようにしたいですね。視聴中にノイズになると嫌なので。視聴中は作品に没入して欲しいです。それから、ある監督からお聞きしたのですが、作品や登場するキャラクターに損をさせないことも大事かなと思っています。
仕事のやりがいとプロデューサーに必要なことは何でしょうか?
制作した作品に対して様々な意見を頂戴しますが、「おもしろかった」等のポジティブな意見をいただいた時に強くやりがいを感じます。もちろんネガティブな意見の中にも参考になるものが多くあり、悔しいけれどそれもまたおもしろいと感じます。プロデューサーをするのに必要なことは、月並みですが、コミュニケーション能力と教養などでしょうか。また、状況の変化も激しいので柔軟な思考と対応能力も必要ですね。変化に疎くなってしまうとちょっと厳しいかなぁと思ったりしています。
今後手がけたい作品はありますか?
個人的な話ですが、アクションものを多く担当してきているので、コメディやラブストーリー、ホラーなどもやってみたいですね。ホラーなんかおもしろいんじゃないかな。企画通すのはちょっと難しいかもしれませんが…。そもそもアニメでホラーって需要あるのでしょうか?
手がけたい作品という意味では、漠然としていますが、視聴者の心をちょっとでも揺さぶれるようなものをやりたいです。観ることってその人の時間を拘束することなので、観終わったあとに何か心に残る作品を手がけていきたいな、と思っています。
アニメーション業界(制作)を目指す人へのアドバイスはありますか?
人って好きなこと、興味があることにはアクティブになれるけど、苦手なことや嫌なことは大体避けていくと思うんです。別に好き嫌いするなって話ではなくて、苦手なことに対してもできる限りアクティブに接していくこと、つまり、何故ソレが苦手なのか?どこが?何が?それを考え、経験して理解することで物の見え方や考え方が広がるのではと。クリエイティブな現場ですから知っていることは多いほうが良いですよね。もっと極端なことを言うと、人生なんて好きか嫌いかの二択で、嫌いなものの割合が多いと何か損だと僕は思っていて、理解しているだけで、もしかしたら嫌いなことや苦手なことも楽しむ方法が見つかるかもしれない。好きなことも新しい側面が見えてくるかもしれない。エンターテイメントを作っている現場でそういう考え方ってきっと強みになると思います。ですので、ちょっと意識して好きなことも嫌いなことも沢山経験しましょう。いっぱい遊べってことです。後は、「急がず焦らず素早く」。人生短いので。