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アニメエキスポ2024レポート
昨年に続き、AnimeExpo2024にA-1 Picturesとして参加してきました!今年の開催期間は8月3~6日の4日間。毎年約40万人以上のアニメファンがアメリカ、ロサンゼルスに集結します。
からっとしたロスの気候の中、イベントは会場外からすでに始まっているんだといわんばかりのコスプレイヤーの方々を街中で見かけ、現地のファンがこのAnimeExpoにかける熱量の高さを感じることができました。
今回もA-1 Picturesは「Aniplex of America×A-1 Pictures Industry Panel」というパネル(=トークステージ)に登壇。「MASHLE」監督の田中智也さんと、同じく「MASHLE」で撮影監督を務めたA-1 Picturesの鈴木彬人君が作品についての話を、A-1 Pictures代表取締役の清水暁さんがスタジオの紹介を、という2本立ての構成で臨みました。
前半パートのMaking of「MASHLE」では、田中監督と鈴木君が作品制作の裏側を紹介。トークの題材として監督のチョイスした見どころシーン一つ目は、第15話のレインVSマカロン戦でした。このパートでは要望した以上に作画を含め各セクションの方々が頑張ってくれたという監督の説明に、映像を見ながら客席で大きくうなずく方も多く見受けられ、アニメーション制作への関心が強いことが感じられました。二つ目の監督チョイスは第20話から、ちびドット&ちびランスのシーンです。子供に戻ってしまった2人を可愛く作画してもらったという面白いシーンですが、こうしたギャグシーンの演出についても田中監督から説明がありました。
続いて鈴木君から「撮影」という工程を簡単に説明をしたのちに、「MASHLE」では撮影時の処理で主線を太くすることにより、キャラをより強調しているという試みについても紹介しました。
監督からは、制作時に重視していたポイントとして、作中のSE(効果音)についてもお話がありました。
「MASHLE」では要所要所の効果音にもこだわっていて、今回のパネル用として特別に、本編では採用されなかったSEを実際の映像にあてはめたものを用意。実際に5パターンのSEを聞き比べてもらうと、音の違いは判りやすいということもあってか会場のリアクションがよく、笑いもおきていました。
後半の清水さんによるスタジオの紹介パートでは、監督にクリエイターさんから見たスタジオのいいところを質問したところ、「トイレがきれいでいつも清潔」というコメントが。スタッフの皆さんは作業の大半をスタジオで過ごすので、気持ちよく作業していただくのに清潔さは重要なんだと改めて感じました(笑)。
現地スタッフとの事前打ち合わせの際に、海外のファンは作品のことも知りたいけど、たとえばクリエイターが作業の時に食べている物や、デスク周りの必需品などパーソナルな情報にもとても関心があるとアドバイスがあったので、そういった話題も交えながら3人のクロストークで会場の関心を引いていました。
今回パネルに参加してくださった約1000名の方々には、多少なりとも作品とA-1 Picturesのことを知っていただけたのではと思います。
最後に、パネルを終えた田中監督と鈴木君にミニインタビューです。
■ステージを終えての感想をお願いします。
田中監督:本当に緊張しました。最初に話し出す数分頭が真っ白になっていましたね。日本国内のイベントには数回登壇させていただいていたのですが、今回初めてアメリカのイベントで、しかもあれだけの人の前で話すということは日本でもなかったので、すごく緊張しました。でも、日本とはまた違う熱気を肌で感じることができたので、すごく貴重な経験をさせていただいたなと思います。
鈴木:たくさんの人前で話すということ自体が初めての経験で、それが世界でもトップクラスの規模のイベントであるAnime Expoということで僕もとても緊張していたのですが、参加していただいたみなさんのリアクションがすごくよかったので、いざ話し出してからはだいぶリラックスして話すことができたかなと思います。ただ、言語の違いを考慮してもっとうまく伝えることができたかも知れないなという反省点もありました。
■今後また海外のイベントで登壇する機会があったらこうしたいと思うことはありますか?
田中監督:今回はアメリカのファンが聞きたいことはなんだろう、というのがわからない中で、こだわったカットなどの話をしましたが、「ファ~ン」の効果音の違いについては会場のウケも良かったので、今後も機会があれば普段アニメを見ているだけではわからないような裏側の話を多く見せていければと思いました。
鈴木:日本のファンと海外のファンのウケるポイントが違うなと思ったので、開催する場所にあわせて話す内容と見せ方を考えていくことが大事だなと思いました。
■イベント会場で印象的なものはありましたか?
田中監督:こういった日本のイベントではその時注目されている人気作やそのコスプレを見に来ているのかな、という印象がありましたが、アメリカでは古い作品を今でも愛してくださっている姿が見られて、びっくりしました。
鈴木:監督もおっしゃったように、昔の作品のコスプレもそうですし、会場で流れている曲も最近の曲だけではなく、少し前のアニメの曲が流れていたことが驚きでした。また国内だとキャストさんやイラストが好きという方も多い印象ですが、アメリカではクリエイターへの関心が高く、一緒に写真撮影を依頼されたりすることが驚きでした。
■「MASHLE」という作品を通して、今回のイベントで感じたことを教えてください。
田中監督:僕が感じたのは、本当にみんな純粋にアニメが好きなんだなということです。日本との違いは言葉ではうまく説明できないのですが、日本人とはまた違った「好き」を感じました。
今までかかわった作品はたくさんありましたが、「MASHLE」は初めて日本のアニメが世界で愛されているということが直に体感できた作品でした。ほんとうにいい経験をさせてもらいました。
鈴木:僕も、心からアニメが好きな方々が集まっているんだなと思いましたね。
また、アニメとコミックスとの違いの一つに「音」で伝えるというのがあげられると思うのですが、「音」の受け取り方に関しては効果音ひとつをとっても世界共通だなと。「MASHLE」はOPも話題になりましたが、歌詞の意味は分からなくともリズムが印象的でとても愛されているということを現地の人に聞きました。世界で愛される理由の一つが確かにそこにあったと。そしてそんな作品にかかわれて光栄だなと思いましたし、今回はとても楽しい時間を過ごすことが出来ました。